キャラとは何者なのか(最初に地底へ落ちた人間)
アンダーテールの物語の核ともいえる存在、それが「キャラ」です。ゲーム内で公式に「キャラ」という名前は明言されていませんが、冒頭で名前入力時に「Chara」と入力すると「本当の名前」と表示されることから、この人物が「キャラ」であると多くのプレイヤーに認識されています。キャラは、地底世界に最初に落ちてきた人間であり、物語の舞台となる「イビト山」の大穴に落ちた存在でもあります。
彼(彼女)は通常のプレイでは姿を見せません。姿を現すのは、ゲーム内でほぼすべてのモンスターを殺す「ジェノサイド(虐殺)ルート」の終盤や、アズリエルとの回想シーン、またはゲーム最序盤のオープニングに限られています。
キャラの過去と人生(アズリエルとの出会いと別れ)
キャラは地底に落ちた後、王子アズリエルに発見され、怪我をしていたためドリーマー家(アズゴアとトリエルの家)へと招かれます。以後、アズリエルと兄弟のような関係を築きながら、家族の一員として暮らすことになります。
しかし、キャラは重い病に倒れてしまい、死を迎えます。その際、キャラは「故郷の花畑を見たい」と願います。アズリエルはその願いを叶えるべく、キャラの魂を取り込み地上へと向かいますが、人間たちに誤解され攻撃され、反撃せずに地底へ戻ります。この出来事が、後の王アズゴアによる「人間の魂を集める計画」へと繋がっていきます。
キャラがイビト山に訪れた理由(自殺願望と人間への憎しみ)
なぜキャラは伝説の山「イビト山」を訪れたのか。その理由については明確ではありませんが、作中の情報やアズリエルの発言から推察されるのは、キャラが人間に強い憎しみを抱いていたということです。彼(彼女)は地上での生活に絶望し、自ら命を絶つために山を訪れた、あるいはモンスターに人間への復讐を託すために意図的に落ちた、という説が有力です。
とはいえ、オープニングの映像を見ると、うっかり足を滑らせて落ちたようにも描かれており、確定的な動機は不明のままです。
キャラの亡骸はどこへ?(花畑と棺トリエル桶の謎)
キャラの亡骸はどこにあるのか。これもまた明言されていませんが、「ニュー・ホーム」にある棺桶、特に赤いハートが描かれたものがキャラのものだと考えられています。
また、「トリエル戦」や「アズリエル戦」の後に訪れる金色の花畑でも、アズリエルとトリエルが花の世話をしており、ここにキャラの体が埋葬された可能性も示唆されます。しかし、これもフラウィの考察に過ぎず、真相は依然として謎のままです。
キャラの本当の目的(モンスター解放と人類抹殺)
キャラの計画は、アズリエルとともに6つの人間の魂を集め、バリアを破壊してモンスターたちを地底から解放し、憎き人間を皆殺しにすることでした。これは、「真実のラボ」でのビデオ記録やアズリエル戦でのセリフから明らかになります。
しかし、アズリエルは戦争を避けたくてこの計画に消極的であり、最終的にはキャラの「決意の強さ」によって肉体の主導権を奪われ、地上での惨劇へと繋がってしまいます。
キャラの蘇生とプレイヤーへの問いかけ(虐殺ルートの果て)
ジェノサイドルートを進めると、キャラはついにプレイヤーの前に姿を現します。キャラは、プレイヤーが殺戮を繰り返し、経験値(EXP)やLOVE(LV)を上げていったことによって蘇ったと語ります。そして「この世界を破壊するか?」と問いかけてきます。
「はい」と答えると世界が破壊され、「いいえ」と答えても結局破壊されるなど、プレイヤーはどちらにせよ破滅的な結末を迎えることになります。このことから、キャラはもはや救いようのない悪意を持った存在として描かれます。
キャラは本当に悪人なのか(プレイヤーとの対比)
キャラの行動や思想は、確かに「悪」とも言えるものですが、プレイヤー自身がジェノサイドルートを繰り返す限り、キャラ以上の「悪」になっているとも言えます。作中でキャラが「お前のような相棒が必要だった」と語るように、プレイヤーの選択こそがキャラを蘇らせ、破壊へと導いたのです。
つまり、キャラは悪人ではあるが、プレイヤーの選択により「より悪しき存在」に変わったとも言えるでしょう。
キャラとフリスクの関係性(外見・背景の共通点)
キャラと主人公フリスクの関係も、多くの考察を生む要因です。2人の外見は非常に似ており、服装のデザインは色違い、髪型や身長までも酷似しています。
両者とも「イビト山」を訪れているという共通点もあります。このことから、フリスクはキャラの生まれ変わり、またはキャラの意思を継ぐ存在であるといった説も囁かれていますが、作中では明言されていません。
キャラという存在が持つ意味(プレイヤーの鏡としての役割)
アンダーテールにおけるキャラは、単なる悪役ではなく、プレイヤー自身の選択を映し出す鏡のような存在です。プレイヤーが何を望み、どのような結末を選ぶかによって、キャラは変化します。
道徳的な選択を続ける限り、キャラは表舞台に出てくることはありませんが、殺戮を選べばその姿を現し、共に歩むことになる。キャラの存在が、アンダーテールというゲームにおける「プレイヤーの責任」を強く浮き彫りにしているのです。
今後の展望とキャラの物語(続編への期待と考察の余地)
現在「DELTARUNE」が公開されていますが、キャラに関する詳細は明かされていません。今後の続編が出ることで、地上でのキャラの生活や、フリスクとの関係の真相が描かれる可能性もゼロではありません。
しかし、制作者トビー・フォックスはあえて謎を残したまま作品を終わらせているとも言われており、その曖昧さこそがアンダーテール最大の魅力ともいえます。
まとめ
キャラは単なる悪役ではなく、人間とモンスター、そしてプレイヤーとの複雑な関係性の象徴です。彼(彼女)の正体、目的、フリスクとの関係性は明確には描かれていませんが、プレイヤーの選択によって形を変える「意思の化身」として、アンダーテールという物語の核を成す存在となっています。
今後もプレイヤーの中で、キャラの謎を解き明かそうとする考察は続いていくでしょう。