ゲーム概要(革命的RPG体験)
『Clair Obscur: Expedition 33』は、元UBIの精鋭が集うSandfall Interactiveが開発したリアルタイム×ターンベースRPG。プレイヤーは“ペイントレス”が刻む〈死の数字〉に支配された世界で、遠征隊“エクスペディション33”の一員として世界を救う旅に出る。ベルエポック風の街並みとダークファンタジーが溶け合った独特の空気感、日本製JRPGへの敬意、そして大胆な独自システムが三位一体となり、従来のRPG像を鮮烈に更新している。
世界観とストーリーの魅力(壮大×切なさ)
本作の舞台は、67年前の〈崩壊〉で壊滅した世界。ペイントレスが毎年“数字”を描き換えるたび、その年齢に達した人々が忽然と消える──冒頭で数字は「33」へ。死の宣告を受けた世界で、生存者たちはわずかな都市ルミエールに身を寄せる。プレイヤーは呪いの源ペイントレスを討伐すべく出撃。序盤の衝撃展開から中盤の怒涛の伏線回収、終盤で胸をえぐる真実まで、まるで映画を観るような密度で物語が畳み掛ける。FFXを彷彿とさせる切なさと、ソウルシリーズ級のダークな余韻を併せ持ち、「クリア後にもう一周したくなる」中毒性を生む。
戦闘システム(スタイリッシュ×戦略性)
基礎はコマンド式だが、敵ターンに〈パリー/回避/ジャンプ/グラディエントパリー〉を即応するリアルタイム要素が融合。成功すればAPを回収し、カウンターで大ダメージを叩き込めるため、プレイヤースキルが戦局を左右する。判定はシビアすぎず“気持ちよさ”重視で、熟練すれば最高難易度でもノーダメージ撃破が可能。
さらにキャラごとに固有システム――マエルは構え3段切替、ルネは属性ステイン蓄積型など――が用意され、パーティ内シナジーが重要に。ピクトス(装備)とルミナ(パッシブ)の組み合わせで無限のビルドが生まれ、コマンドRPG特有の“数値戦略”とアクションの爽快感を両立している。
キャラクターとビルド(個性と戦略)
●マエル:3種の構えで攻防特化を自在にスイッチ。炎属性の状態異常“火傷”で継続火力を稼ぐ近接アタッカー。
●ルネ:射撃主体。フリーエイムで弱点を撃ち抜き、ステインを溜めて高倍率スキルを放つテクニカルシューター。
●ギュスターブ:重装タンク。パリー成功で自己強化、カウンター時のブレイクダメ+50%ピクトスと好相性。
ピクトスは各キャラ3枠。例えば「マーキングショット+バーニングショット+強化エイム」でルネの銃火力が爆伸び。ルミナは戦闘4回で解放され、ポイントを割り振れば全キャラ共有可能。レベル上限だけでなくキャンプのキュレーター強化でも所持ポイントが増えるため、周回するほど“理想のロール”を追求できる。
探索とやり込み要素(ボリューム満点)
ワールドマップ解放後は半オープン構造。ストーリーに無関係なダンジョンや隠しボスが各地に潜む。推奨レベル外のエリアに足を踏み入れ、ラスボスを凌駕する怪物と偶然遭遇したときの緊張感は格別。
●隠しボス:弱点ギミックや「永遠敵ターン」型など、攻略法を見抜くパズル的楽しさあり。
●ミニゲーム:オンリーアップ系“イライラ登攀”、リズム射撃など多ジャンル。
●ニューゲーム+:敵AI強化&ドロップ追加。2周目限定ピクトスを集める“真のやり込み”。
総プレイ50時間でもコンテンツは半分強。トロコン、図鑑埋め、武器熟練度MAXを狙うなら100時間も視野に入る。
グラフィックと音楽(没入感最高潮)
Unreal Engine 5が描く光彩は圧巻。ルミエールの石畳、遠景に滲む“33”の数字、荒廃した荒野に差す陽光――静止画でも物語を想像させる質感だ。ムービーは実写映画のカメラワークを意識し、表情の微細な揺らぎまで演出。
音楽は壮大なコーラスと切なさを帯びた旋律が交錯。特に終盤ボス曲は、鼓動とシンクロして高まるストリングスが“ラストバトル感”を極限まで演出する。フォトモード未実装なのが惜しまれるほど、全景がフォトジェニック。
イマイチポイント(UIとローカライズ)
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日本語音声なし:字幕訳は通じるが直訳調で感情移入を阻害。ムービー中に字幕を追う負荷も大。
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ミニマップ&マーキング不足:ダンジョンで方角を失いやすく、ワールドマップ上の発見地点をメモ必須。
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戦闘UI情報不足:バフ/デバフ残ターンや敵弱点を一覧確認できず、慣れるまでは試行錯誤が煩雑。
いずれもアップデートで改善可能な範囲であり、ゲーム体験を根底から損ねるほどではないが、神ゲーを名乗るなら惜しい部分。
総評とおすすめ層(絶対プレイすべき理由)
良かった点
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心をえぐるストーリーと謎解き系の伏線回収
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パリーが気持ちいいスタイリッシュ戦闘
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ビルド自由度とキャラ固有システムの奥深さ
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50hを超える探索・隠しボス・ミニゲーム
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UE5の美麗ビジュアルと胸震える音楽
惜しかった点
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日本語音声&一部翻訳の粗
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ミニマップやUIの情報不足
結論:JRPG愛を現代技術で研ぎ澄まし、革新を添えた“次世代クラシック”。重厚な物語と骨太バトルを求める人、広大な世界でじっくりやり込みたい人、グラフィックとサウンドで没入したい人──そのすべてに刺さる。UIが改善されれば無欠点に近づくが、現状でも“プレイしない理由が見当たらない”レベルの完成度だ。
今、RPGの歴史が33の数字と共に更新される。その瞬間をぜひ体験してほしい。