サガフロンティア2とは(ゲームの概要)
『サガフロンティア2』は1999年にプレイステーション専用ソフトとして発売されたサガシリーズ第8作目のRPGです。そのリマスター版の発売が発表されたことで、再び注目を集めています。このゲームは一言で表すならば「歴史を体感するRPG」。壮大な歴史を、2人の主人公の視点から追体験していくスタイルが大きな特徴となっています。
プレイヤーは、歴史に名を残す英雄と、歴史の裏で人知れず戦う者たちの物語を、年代ごとに追っていくことで、世界の変遷や人物の成長、そして受け継がれる意思を深く味わうことができます。
二人の主人公(ギュスターヴとウィル)
『サガフロンティア2』の物語は、二人の主人公によって進行します。一人目はギュスターヴ13世。もう一人はウィル・ナイツ。この二人は、それぞれ「歴史の表」と「歴史の裏」を担当しており、全く異なる立場や生き方で物語を彩ります。
ギュスターヴは、術が当たり前に使われる世界で、術を使えなかったために王位継承から外され、母と共に王宮を追放された存在。しかし彼は、その苦難を乗り越え、術ではなく金属と鍛冶技術に可能性を見出し、やがて軍を率いるリーダーへと成長していきます。
一方、ウィル・ナイツは冒険家一族の血を引く若者。15歳で冒険の旅に出た彼は、旅の中で謎の物体「エッグ」の存在を知り、それを巡る陰謀と戦う運命に巻き込まれます。ウィルの物語は彼だけで完結するのではなく、子や孫にまで受け継がれ、三代にわたって続く壮大なサーガとなります。
歴史の表と裏(ふたつの視点から描かれる物語)
このゲーム最大の特徴ともいえるのが、”歴史の表”と”歴史の裏”という二重構造です。
ギュスターヴの物語は、まさに歴史書に名を刻む英雄の歩み。彼の存在は、戦争や国の統治、革命といった大きな歴史の転換点そのものと言えるでしょう。彼の物語は、大河ドラマや歴史小説を思わせる重厚な展開で構成されています。
対して、ウィル・ナイツの物語は、歴史の陰で行われるもう一つの戦い。彼とその子孫たちは、世界を脅かす邪悪な存在「エッグ」に立ち向かい続けます。その闘いは、時に報われず、世に知られることもありません。しかし、確実に世界を支えている戦いです。この二重の視点が、物語に深みと奥行きをもたらしています。
高評価の理由(ストーリー、音楽、水彩画調グラフィック)
『サガフロンティア2』が長く愛されてきた理由のひとつに、そのストーリーの完成度が挙げられます。サガシリーズはもともとストーリー描写が控えめな作品が多い中で、本作は非常に丁寧にストーリーが描かれており、感情移入しやすい構成となっています。特に伏線の張り方とその回収は見事で、「泣けるゲーム」として語られることも少なくありません。
また、音楽も本作の魅力のひとつです。作曲は浜渦正志氏が担当し、幻想的でありながら力強いメロディーが多くのプレイヤーの心に残っています。特に主旋律をアレンジした楽曲群は、世界観に深みを与えています。
さらに、水彩画調で描かれたグラフィックも唯一無二の魅力です。柔らかく温かみのあるビジュアルは、ファンタジックでありながらもどこかリアルさを感じさせ、物語の情感とよくマッチしています。
一方での欠点(不親切な説明、戦闘テンポの悪さ、自由度の低さ)
もちろん、すべてが完璧というわけではありません。本作にはいくつかの欠点も存在します。
まず第一に挙げられるのが、システム面の不親切さ。特に戦闘システムや成長システムについての説明が非常に少なく、初見では理解するのが難しい部分があります。これが攻略本「アルティマニア」が“別売り説明書”と揶揄された理由でもあります。
また、戦闘のテンポが遅く、爽快感に欠けるという意見も多く見られます。前作『サガフロンティア』のスピーディーな戦闘と比較され、どうしても見劣りする面がありました。リマスター版で倍速機能などの改善が期待されている点です。
さらに、自由度の低さも一部ユーザーからの不満点です。ゲームは基本的に決められた年代とシナリオ順に進行していくため、任意の順序でイベントを攻略する自由度はほとんどありません。また、世代交代システムのため、好きなキャラクターを最後まで使うといったプレイスタイルも困難です。
凡ゲーから良ゲーへ(再評価された理由)
初期の評価では、「前作と違う」「自由度が低い」「いとけんじゃないからサガじゃない」など、前作ファンからの批判が多く寄せられ、凡ゲー扱いされていた時期もありました。しかし時が経つにつれ、ストーリーと音楽の評価が高まり、再評価されるようになります。
今では、BGMランキングで上位に入るなど、音楽面での評価も確固たるものとなっており、ストーリーの良さも多くのファンに支持されています。リマスターによる改善が加われば、より幅広いプレイヤーに愛される作品となる可能性を秘めています。
刺さる人には刺さるゲーム(選ぶ価値あり)
『サガフロンティア2』は、すべてのRPGファンに向けたゲームというよりも、明確に”刺さる人”を狙って作られた作品と言えるでしょう。重厚なストーリーを求める人、美しい音楽とアートに惹かれる人、世代を超えた人間ドラマに興味がある人にとっては、間違いなくプレイする価値のある一作です。
逆に、システムの自由度や爽快なバトルを重視する人にとっては、やや取っ付きにくい印象を受けるかもしれません。ですが、リマスターによって快適性が改善されれば、その欠点も大きく和らぐことが期待されます。
リマスターに期待される改善点(便利機能の追加)
リマスター版で特に期待されているのが、倍速機能やヘルプ機能などのUI改善です。既に他のサガリマスター作品(サガフロンティアリマスターやスカーレットグレイス)では導入されており、戦闘のテンポ改善やシステム理解の手助けになっています。
これらが『サガフロンティア2 リマスター』にも実装されれば、より多くのプレイヤーが快適に遊べるようになり、作品の魅力を存分に味わうことができるでしょう。
まとめ(良作として再評価された歴史RPG)
『サガフロンティア2』は、リリース当初こそ賛否が分かれたものの、今ではストーリーと音楽において高い評価を得ている作品です。独自の歴史観、代を超えて繋がる物語、水彩画調のグラフィックなど、他にはない個性が詰まった良作RPGです。
決して万人受けするタイプのゲームではありませんが、刺さる人にはとことん刺さる。そんな魅力を持つ本作に、リマスターという新たな息吹が加わることで、これまで知らなかったプレイヤーにもその魅力が届くことを期待したいところです。
ぜひこの機会に、『サガフロンティア2 リマスター』を手に取り、あなた自身の歴史を紡いでみてはいかがでしょうか。